ジーパン。

愛していると言っても過言ではない。丈夫だし、色落ちしてもソレはソレで味が出てくる。ジーパンは長く付き合える友である。・・・・・・などとは1㎜も思ってない。
がしかし、安価で丈夫でしかも色落ちしようが破れようがそれなりのファッション性をもテケトーに維持できるので、ジーパンは長らく愛用してきた。が、こっちが気に入ってるからといって向こうもそうであるかと言うと、んな訳無いのは平安時代源氏物語からの自明の理であるので、この場合もその範疇を免れんのである。
なんてったってサイズが合わない。高校時代には(今となっては自分でも信じ難いが)超正統派の陸上部員短距離専門だったので、引退して4年近くが経過しようという今日に至ってもケツがデカい。とにかくデカい。この負の遺産によってシーズンの変わり目にジーパンでも買いに行くかと店に出ても、これぞピッタリ、というのが見つからないのだ。
大抵の店でジーパンはウエストを表示して販売しているので、まずウエストで合わせようとしてみる。ウエストのサイズは昔から概ね80㎝弱を維持してきたので78cm程度のものを選んで試着してみるのだが、ケツが合わないのである。プリップリにケツおよび腿が張ってしまう。これで濃色のタンクトップでも着れば外見は押しも押されぬゲイである。それは困る。21年と半年の人生に誓って性的嗜好はほぼノーマルを保ってきたので、この種の誤解を招くことは自己のアイデンティティーの崩壊を招く可能性がある。全霊をもって拒否する。
次にレングスに合わせてみる。こちらは成長期を終えてから変化のしようが無いので、毎回迷わず85センチ程度を選択する。すると今度はウエストが余る。ブッカブカである。今までこのブッカブカのウエストに泣いて幾度となく購入したことがあるのだが、ベルトを締めると当然余りの生地がはみ出る。この生地によって発生する靴擦れ様の腰の布擦れがたまらなく痛い。痛いのはイヤだ。よって拒否する。
かくて、ウエスト78センチ、レングス85センチの多種メーカーのジーパンをしこたま抱えて陳列棚と試着室をおろおろと往復する立派な不審人物が完成するのであった。(ユニクロは1ブランドしか置いていないので絶対に行かない)
ずうずうしい割にシャイであるという難儀な性格なので、この状況はしんどい。しかし堪え切れずにこのセレクションを省略してレジへ走った場合、結果は明らか(ゲイor腰擦れ)なので、今日もまた心持ち顔を伏せながら陳列棚と試着室を大股気味に往復するのであった。
 
・・・しかし、この文章は読んでる本にモロ影響受けてんな。

勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫)

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